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高齢者頭部外傷

 高齢者が転倒する原因は、全身の筋力の低下の他、バランス障害、自律神経障害など多くの原因が重なっておきます。また時には、転倒の原因として脳疾患がみつかることがあります。お怪我をされて受診された場合は、頭部CT検査を行い、頭蓋内に出血がないことをまず確認します。そして重要なのは、なぜ転倒したかを確認することです。ただ怪我にのみ注目した診察では、再び怪我をされてくる場合がほとんどです。

 転倒の原因を考えアドバイスに基づいて生活していく必要があります。また怪我をしてから1か月程度経過したところで脳の表面に血腫がたまることがあります。これを慢性硬膜下血腫といい、通常60歳以降に起きることが多く、これまでの私の外来の経験では100人のうち5人に慢性硬膜下血腫が発生しました。慢性硬膜下血腫となると、意識混濁、手足の運動麻痺が出現しますが、脳卒中のような強い運動麻痺ではないため、病院の受付で脳神経外科が案内されず、診断が遅れることがあります。このような理由から、頭部外傷後は慢性硬膜下血腫のリスクも考慮した外来計画を立てる必要があります。

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